令和6年度多様性確保に資す黒毛和種母系維持確保事業

「令和6年度多様性確保に資す黒毛和種母系維持確保事業」

令和6年6月、日本最古の蔓(つる)の一つとされ、和牛のルーツとも言われている竹の谷蔓牛の維持確保を目的とした「令和6年度多様性確保に資す黒毛和種母系維持確保事業」がスタートしました。

本事業は、日本の畜産業の発展に寄与すると期待される事業に助成金を交付する、日本中央競馬会特別振興資金助成事業として採択されました。

◆事業の目的と背景

1830年頃、役牛(えきぎゅう)として育種され現在まで多くの人の力によって守り続けられてきた竹の谷蔓牛ですが、役牛から肉用牛へと和牛の役割が変化する中で、今後どのように希少な系統を維持確保していくかという大きな課題に直面しています。系統を維持するために牛の頭数を確保する仕組み作りや、若い後継者が生業とできる地場産業の確立などが当面の課題です。

これらの課題を解決するために始まったのが、本事業であり、竹の谷蔓牛をモデルに希少系統を維持確保できる肉用牛生産基盤の体制構築を実証し、和牛の多様性を確保することを最大の目的としています。

◆事業内容

①母系統を維持するための種雄牛の維持確保
希少系統の母系統を維持するための種雄牛の確保・精液生産を行う事業
*種雄牛:子牛を生産するための人工授精用精液の供給に利用される牛

②特徴を有する繁殖牛の維持
希少系統を普及するため、受精卵移植技術の最大限の活用を図るとともに、希少系統の全国普及による散逸や海外流出を防ぐため、データの集積と厳密な系統管理のシステムを作成する事業
*繁殖牛:肉用牛や乳用牛の子牛を産ませるために飼養される雌牛

③多様性維持の重要性啓発
聞き(口述)書き(紙)の記録と配布を行うとともに、安全かつ伝統的な管理技術の伝承記録と配布を行う事業

④経済性と希少性の総合評価
 市場ニーズの調査及び利活用推進方法の検討を行うとともに、地域風土や歴史等の調査を行う事業

竹の谷蔓牛を維持確保するためのモデルを確立することで頭数が増加し、希少な和牛肉を市場に流通させることが可能になります。
英知を集め竹の谷蔓牛を上手にブランディングし、市場に出すことで経済効果が期待でき、それによって希少性を守っていくことにつながります。

***予告***

2024年12月12日には新見公立大学 鳴滝熟にてシンポジウムを開催いたします。

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